高IgE症候群の解明

アトピー、高IgE血症、骨粗鬆症を伴う免疫難病の責任遺伝子の同定
ならびに新規治療法開発に向けての病態解析

~高IgE症候群の責任遺伝子を世界に先駆けて同定し、その病態を明らかにした~

 高 IgE症候群(図1)は、免疫不全症(繰り返す肺炎や皮膚膿瘍)でありながら重症のアトピー(アトピー性皮膚炎、高IgE血症)を呈する大変ユニークな原発性免疫不全症です。多くの症例は孤発性ですが、少数ながら常染色体優性型あるいは常染色体劣性型の遺伝形式を示す家系が報告されています。臨床症状から、1型と2型に大別され、1型は免疫系の異常に加えて骨・歯・軟部組織の異常を伴う多臓器疾患(図2)ですが、2型で認められる異常は免疫系に限局しています。弧発型と常染色体優性型の多くは1型で、常染色体劣性型は2型の症状を示します。疾患自体は40年以上前にすでに報告されていますが、これまで両タイプともその原因遺伝子ならびに病気の発症メカニズムはまったく判っていませんでした。我々の研究グループは、これまでに2型および1型高IgE症候群におけるサイトカインシグナル伝達障害を見いだし、責任遺伝子TYK2ならびにSTAT3を同定しました。また責任遺伝子の同定により、徐々にその病態発症メカニズムが明らかとなってきました。

  1. 2型高 IgE症候群の責任遺伝子の同定と病態解析
  2. 1型高 IgE症候群の責任遺伝子の同定と病態解析
  3. 高IgE症候群の黄色ブドウ球菌感染症が皮膚と肺に限局するメカニズム
  4. 高IgE症候群の末梢における制御性T細胞の分化障害

 高 IgE症候群は早期診断が困難で、乳幼児・児童期では重症のアトピー性皮膚炎と診断されていたものが、後になって症状が集積してきてはじめて高IgE症候群と診断された症例もたくさんあります。本研究で原因遺伝子(STAT3ならびにTYK2)が同定されたことにより、早期の確定診断(遺伝子診断)が可能となり、将来的な遺伝子治療への道も開けました。高IgE症候群では肺炎にともなう重症合併症(肺嚢胞)が大きな問題となりますが、早期診断を行って、ごく早い段階から感染予防の処置を施すことで、重篤な合併症を回避することができます。

 高IgE症候群に認められる重症皮膚炎はアトピー性皮膚炎と類似していることから、本研究成果が、より一般的なアトピー性皮膚炎の病態解明や新規治療法の開発につながるのではないかと期待してさらに研究を進めています。